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常滑焼き餅文化を味わう

「伊勢」から伝わった餅文化。常滑という町の歴史が見えてきますよ。

こんにちは、知多半島ナビです。 大昔から、日本では神事に「餅」は欠かせないものでした。日本の神様のおひざ元である伊勢の地で発展した「餅文化」が何故かここ常滑に伝わり、今も伝統的な美味しさを残っている秘密に迫りました!

そもそも、常滑という場所に何故「お餅屋さん」がたくさんあったのでしょうか。

「常滑」というところは焼き物の町として有名ですが、江戸時代から明治前期にかけて伊勢湾と上方と江戸を結ぶ尾州廻船の港町でした。
お伊勢さんの周りで盛んだった「餅文化」がこの貿易で常滑にも伝わったといわれています。

おまけに餅は腹持ちがいいこともあって港で荷役作業をする男衆の腹の足しとして「お餅屋さん」が多くできたそうです。



また、六古窯の一つである常滑は古くからの陶器の産地。特に海に面しているということから当時は運搬が難しかった大型の陶器が海運で運べるという貴重な存在だったそうです。
ただ、大型の陶器を作るのには大変な体力を消耗する超過酷な労働だったとか。おまけに、窯から離れることができない…ときたら、体力の温存とカロリーを補給するように考えられたのが「ほとくれ餅」。
ふところに入れておいて小腹がすいたら「パクリ!」とかじることができるように考えられたんですね。


ご存じのように、お伊勢参りには日本各地より多くの参拝者が集まります。
神事において「餅」はお供えされたり、ハレの日の食べ物として神聖視されてきました。つまり神事の必需品なんです。加えて旅人の疲れと空腹を癒すことにも最適なので、伊勢では日本一餅文化が発展したそうです。今でも伊勢街道沿いには名物の餅がたくさん残っています。
「赤福餅」や「太閤餅」「へんば餅」などは特に有名ですよね。
尾州廻船の港町、常滑に伊勢の餅文化が伝わって独自の餅が出来ても不思議ではありません。
常滑では、お祭りの際に押し寿司と一緒に餅菓子を振る舞うという習慣がありました。そんな「餅」が生活に欠かせないことがよくわかるのがお正月の餅。今では、お正月のお餅はお米屋さんで準備される方も多いと思います。が、ここ常滑では「餅屋」が作るのが常識なんですって。
しかし、残念ながら近年常滑では「餅屋」は減少しています。
今回、常滑で今でも伝統的な「餅」をいただける二つのお店に伺ってお話を聞いてきました。


まずは、噂の「ほとくれ餅」をご覧にいれましょう。こちらは「にざまつ」さんのものです。

お店では、このようにセットされて販売されています。(1,000円)

ほとくれ餅の歴史は先ほど書いたように、陶器を作る過程から発生したといわれていますがこれが知多半島へ広がっていき「ほとくれ餅」「ふところ餅」として各地でも食されるようになりました。
昔、それほどおやつが無い頃は保存おやつとしてくず米で作られていたそうです。
小さく切った「ほとくれ」をむしろの上で干し、ふところ(ほとくれ)の中に入れ人肌で少し柔らかくして食べたり、火鉢の火で焼いて食べたりしたんですって。
もちろん、現在は上質のうるち米を材料としていますが素朴な味わいや形は余すところなく昔のままを伝えています。


食べるときには、このように食べやすい大きさに切っていただきます。柔らかいうちは、そのまま食べても素朴な甘さがほんのりと感じられて美味しいおやつです。乾燥させてオーブン等で焼いてから食べるという方法もあるようですよ。実際に食べてみると、懐かしいんです。

この「黒糖」のほとくれ餅、コクがあっておいしかったです。白、黒ともにゴマが散っていました。




店内では「草餅セット」としてイートインできるコーナーがあります。お抹茶のセット(380円+税)、コーヒーのセット(430円+税)、お煎茶のセット(380円+税)とお好きなセットでどうぞ。

草餅セットという名前ではありますが、流石に常滑…ほとくれ餅が一緒になっていますよ。


確かに、お抹茶にもコーヒーにもばっちり合いますね~。この程よい甘さがおやつにぴったりなんです。

私たちは今こうして優雅に美味しくいただいていますが、大型陶器を焼いている職人さんたちがふところから取り出しては何時間も窯の様子を窺って体力温存の為にかじっていたお菓子なんだと思うと不思議な感情が涌いてきます。




にざまつさんでは、この草餅も人気なんです。
草餅って、確かに日本国内どこにでもありますよね。今回の取材で感じたことですが、どちらのお店でも草餅が大人気(お店の看板商品)になっているというのが不思議だな~と…。
常滑の人は草餅が好きなのかな?…なんて思いながら大蔵餅さんでお話を伺うことにしました。


はい、お次はその「草餅」にスポットをあててみましょう。
こちらは、「大蔵餅」さんでお話を聞きました!

店頭には餅、餅菓子、おこわ等が並んでいます。
やっぱり、この陳列を見ただけで「お目出たい」イメージが直感で涌いてきました。
縁起の良い食べ物という意識が日本人のDNAに組み込まれちゃってるんじゃないかと思ってしまいました。



大蔵餅の草餅は大きく2種類あるんです。お店の名前にもなっている「大蔵餅」は中にヨモギ餅が入っているタイプ。外はこしあんで包まれています。そして、もちろんノーマルタイプの草餅もおすすめ。
こちらは中のあんが粒あんです。どちらも丁寧にお店で一つ一つ心を込めて作られています。

草餅に使用されるヨモギは「ハーブの女王」とも呼ばれる程に絶大な効能があるんです。
昔の人はそれを生活の知恵で知っていたのでしょうね。健康に良くて腹持ちがいい、更にお値打ちと来れば広く愛されるようになるのも納得です。滋養たっぷりの薬草+餅=草餅というわけですね。


始まりは日本の神話の世界「伊勢」から伝わった(のかもしれない)「餅」が今ではこのようにお菓子として私たちを癒してくれます。

決して高価なお菓子ではないのに、こうして常滑焼の皿にセットしてみるとケーキセットにも負けていませんね。

上品な存在感とでも言いましょうか…どうしても洋菓子の華やかさと比べると地味に見えてしまいがちなのですが、いやいやなかなかのビジュアルじゃないですか!


さあ、餅菓子の話をしてきたら…ここで付き物の「お茶」ですよね~。
ここ常滑は言わずと知れた焼き物の町。常滑焼の素敵な急須で至福のいっぷくを♡

大蔵餅とお菓子、それにお茶1杯が美味しく出せる急須をセットしてみました。
この急須は常滑の急須作家「伊藤成二」さんの作品です。
常滑焼の急須は使い込む程に色、肌合いに深みを増し、愛着ある逸品に成長するんだそうですよ。


常滑焼の急須…今では色、形、触感などいろいろなものがあります。近くの「やきもの散歩道」で是非ともお気に入りを探してみてください。
草餅やほとくれ餅にお気に入りの急須で淹れたお茶…あら?なんだかオシャレな感じがしませんか~?
大人オシャレな香りがします!

急須で淹れるお茶は、一煎目は甘味、二煎目は苦み、三煎目は渋みを味わうといわれます。
餅菓子とお茶いいですね。


「大蔵餅」「にざまつ」をはじめその他の飲食店でも今後、「常滑焼の急須」でじっくりと出した美味しいお煎茶を味わいながらゆったりとした時間を過ごせるようなメニューを考える計画があるそうです。
現代人はどうしても時間に追われて常に忙しいですよね。お茶だってコンビニや自販機でお手軽にのめてしまいます。そんな中、ちょっと非日常的でもある「わざわざ急須で淹れたお茶をいただく」という贅沢を提案したいんです。まずはご自宅でも一つお気に入りの急須を用意して、プチ贅沢なスローライフを楽しんでみませんか?
以上、知多半島ナビでした。




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